水原 玲MIZUHARA REI

短歌

TANKA

短歌

三十一文字に、のこったもの。

ロイホの灯
消えないうちに
帰ろうか
帰れないまま
朝になってた

消えないうちに

しゃべらずに
いられることが
うれしくて
ふたりの夜が
静かにのびる

しゃべらない時間

金曜日
朝から少し
うれしくて
夜になったら
キミに会える日

金曜日の朝

昼なのに
もう夜のこと
考える
キミに会うまで
あと何時間

金曜日の昼

会う日には
手帳にひとつ
ハートだけ
何も書かずに
全部わかった

ハートだけ

待ち合わせ
なんてしなくて
よかったね
いつもの場所に
キミがいたから

金曜日の夜

帰るのか
帰らないのか
決めぬまま
夜だけふたりを
置いていったね

帰らない夜

ふふと笑う
キミの左の
指先が
唇に触れる

ふふ

七分で
会えたあの頃
遠くなり
いまは二十年
越えても会えない

七分

会いたいと
思う夜ほど
会いに行かず
キミのいる街
ひとり通り過ぎ

会いには行かない

窓の灯を
見上げる癖は
そのままで
今日は自分の
影も連れゆ

窓の灯

帰り道
信号待ちの
自転車に
言えた言葉を
そっと乗せてる

信号待ち

読み返す
文字の向こうに
声がする
冷めたコーヒー
両手で包む

声

過ぎた日を
なかったことに
しないまま
白いシャツ着て
朝の街へと

白いシャツ

向かいには
誰もいなくて
それなのに
ひとりではない
夜の席にいる

夜の席

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